就業規則の作成
就業規則は、従業員数が10人以上になると、労働基準法で就業規則の作成と、労働基準監督署への届出が義務付けられます。しかし、従業員数が10人未満なら、就業規則を作成しなくても問題がないという性質のものではありません。
中小零細企業にこそ会社を守るための就業規則が必須です。
就業規則は「会社の法律」です。
会社では日々、大小の問題やトラブルが勃発します。その問題を解決するための根拠を労働法だけに求めるのは無理があります。
解雇一つとっても、使用者は就業規則上の解雇事由のいずれにも該当しない理由で労働者を勝手に解雇することはできません(限定列挙説)。
もし就業規則がなければ、問題がこじれて裁判になった場合、致命的に不利になることは過去の判例を見れば容易に想像できます(茨木消費者クラブ事件、中央タクシー事件など)。
きちんとした就業規則が整備されていなければ、トラブルに対しての脆弱性やリスクが顕著に高まります。逆に適正な就業規則があれば、会社でトラブルが発生した時に判断の根拠として労働者に示すこともできるでしょう。それは会社の言い分の説得力や信用力を高め、トラブル解決の一助になります。
例えば、就業規則(賃金規程)で、賞与の支給対象者を「賞与の支給日に在籍している者」と規定していれば、賞与の支給日の前に退職した社員には、賞与を支給する必要はありません(大和銀行事件)。実際に、賞与の支給日には既に退職していたけれども、賞与の支給対象期間に在籍していた社員には、勤務していた期間に応じた賞与を支払わなければならないという裁判例もあります(ビクター計算機事件)。
就業規則は賃金規定ひいては、人事考課や助成金等とも連動します。就業規則は会社発展のための礎であり、職員が将来のキャリアアップを見据え、安心して長く会社に定着するためにはなくてはならないものです。
就業規則の作成料は10万円になりますが、これは私の責任料としての報酬と考えています。